A社が今後の成長に向けて重点的に取り組むべき経営戦略の方向性を100字以内で述べよ。
この問題の使い方
- まず企業概要(与件文)をじっくり読み、A社の強み・弱み・課題を把握してください。
- 設問ごとに指定字数内で実際に解答を書いてみましょう(紙またはメモ帳を用意)。
- 解答を書き終えたら「解答・解説を見る」ボタンをクリックして解答例と照らし合わせます。
- 「解答のポイント」で採点官が重視する要素を確認し、自分の解答を改善しましょう。
【問題】A社の事例
企業概要(与件文)
A社は、首都圏に本社を置く従業員65名の中堅印刷・デザイン会社である。創業者である社長(62歳)が30年前に設立し、長年にわたり企業向けカタログ・パンフレットの制作を主力事業としてきた。近年、印刷物需要の縮小に伴い売上は漸減傾向にあるが、Webデザイン・動画制作分野では新規案件が増えつつある。
組織は社長直下に営業部・制作部・総務部の3部門で構成されており、意思決定はすべて社長が行う体制が続いている。部門長の平均年齢は55歳と高く、若手社員からは「提案を上げても社長の判断を待つだけで動けない」という不満が多く聞かれる。また、人事評価は年功序列中心で、成果を上げた若手社員のモチベーション低下が問題になっている。
後継者については、専務(社長の長男・34歳)が在籍しているが、現場経験が浅く、社員からの信頼は必ずしも高くない。社長は3年後の事業承継を検討しているが、体制整備が進んでいない状況である。Webデザイン部門の強化を含め、今後の成長戦略と組織改革が急務となっている。
設問
A社の組織上の最大の問題点を指摘し、その改善策を120字以内で述べよ。
A社が若手社員のモチベーションを向上させ、優秀人材を定着させるために必要な人事制度の改革を120字以内で述べよ。
3年後の事業承継を見据え、A社が整備すべき組織体制と後継者育成の施策を150字以内で述べよ。
【解答例・解説】
解答例(90字)
設問分析
- 設問要求:「経営戦略の方向性」を問う戦略分析型。SWOT分析の視点で「強み×機会」を組み合わせた方向性を示す。
- 注目すべき与件文:「印刷需要の縮小(脅威)」「Web・動画制作での新規案件増(機会)」「既存の制作力(強み)」の3点が核となる記述。
- 字数配分の目安:100字以内なので「現状課題+強みの活用+具体的な方向性」を各20〜30字で簡潔にまとめる。
解答のポイント(採点官が見る要素)
- 現状の課題(印刷需要の縮小)を認識・明示しているか
- A社の強み(既存の制作力・顧客関係)を活用する視点があるか
- 具体的な方向性(デジタルシフト・Web/動画分野)を示しているか
よくある失点パターン
- 「売上を伸ばすために頑張る」など抽象的な方向性だけで与件文の根拠が乏しい解答。
- 印刷事業の廃止や縮小のみを述べ、既存顧客との関係維持(強みの活用)に触れない解答。
- 「新規事業に参入する」と書くだけで、A社の強みとの論理的つながりが示されていない解答。
加点のコツ
- 「既存顧客との関係性を維持しつつ」という既存資産の活用に言及すると、強みの活用として高く評価される。
- 「一貫制作体制」「デジタルコンテンツ化」など具体的なビジネスモデルのキーワードが解答に入ると差がつく。
解答例(118字)
設問分析
- 設問要求:「組織上の最大の問題点」と「改善策」の2点が問われている。「組織上」という限定に注意し、財務・市場問題ではなく組織構造の問題に限定して解答する。
- 注目すべき与件文:「意思決定はすべて社長が行う」「若手から提案を上げても動けないという不満」の記述が問題点の根拠。
- 字数配分の目安:120字で「問題点40字+改善策60字+効果20字」の配分が標準的。
解答のポイント(採点官が見る要素)
- 問題点は「組織上」の問題に絞る——財務・市場の問題ではなく権限集中・意思決定遅延を指摘する
- 改善策は「制度・仕組み」として具体的に記述する(「意識を高める」は不可)
- 改善による期待効果(迅速化・責任意識)まで言及できると高得点
よくある失点パターン
- 「問題点は売上が低下していること」など設問の「組織上」という限定を無視して財務・市場問題を書いてしまうパターン。
- 改善策として「社長がもっと現場を信頼すべき」など制度化されていない精神論・意識論を書くパターン。
- 問題点と改善策の因果関係が不明確で、「問題はAだが施策はB」と論理がちぐはぐになるパターン。
加点のコツ
- 委譲する権限を「採用・予算・案件承認」と具体的に列挙すると、施策の具体性で加点される。
- 「月次業績報告制度で管理する」など委譲後の管理体制まで言及すると、制度設計の完成度が評価される。
解答例(116字)
設問分析
- 設問要求:「モチベーション向上」と「優秀人材の定着」という2つの目的に対する「人事制度の改革」を問う。目的を意識して改革の方向性を示す必要がある。
- 注目すべき与件文:「人事評価は年功序列中心」「成果を上げた若手社員のモチベーション低下が問題」の記述が評価制度改革の根拠。
- 字数配分の目安:120字で「評価制度40字+処遇制度40字+育成・キャリアパス40字」の3点を均等に記述するのが理想。
解答のポイント(採点官が見る要素)
- 評価制度(MBO・成果主義への転換)に言及しているか
- 処遇(賞与・昇格への反映)まで踏み込んでいるか
- 育成・キャリアパスの観点も含め3点を網羅すると高得点
よくある失点パターン
- 「成果主義の評価制度を導入する」とだけ書いて、成果をどのように処遇(賞与・昇格)に反映するかに触れない解答。
- 育成・キャリアパスの視点が抜けて「評価と処遇のみ」になるパターン。「定着」には将来展望の提示が必要。
- 「成果主義を徹底する」など極端な方向性を書き、プロセス評価・能力評価のバランスに言及しない解答。
加点のコツ
- 「MBO(目標管理制度)」という用語を使うと、評価制度の具体的手法として採点官に伝わりやすい。
- 「外部研修と組み合わせた育成計画」など、OJTに加えてOff-JTも組み合わせた多層的育成を示すと完成度が上がる。
解答例(144字)
設問分析
- 設問要求:「3年後の事業承継を見据えた」という時間軸が明示されており、段階的な施策設計が求められる。「組織体制」と「後継者育成」の2点が要求されているため、両方に言及する必要がある。
- 注目すべき与件文:「専務(34歳)は現場経験が浅く、社員からの信頼は必ずしも高くない」という記述が後継者育成策の根拠。「3年後の事業承継を検討しているが体制整備が進んでいない」も重要。
- 字数配分の目安:150字で「後継者育成施策80字+組織体制整備50字+期待効果20字」の構成が目安。
解答のポイント(採点官が見る要素)
- 後継者育成は「信頼構築」「知識移転」「権限移転」の3要素で整理すると網羅的になる
- 専務の現場経験不足という与件文の記述を踏まえて解答しているか
- 「3年後」という時間軸を意識し、段階的・具体的な施策を示しているか
よくある失点パターン
- 後継者育成の施策のみ書いて「組織体制の整備」に言及しない解答(設問要求を半分しか満たしていない)。
- 「現場経験が浅い」という与件文の課題を無視して、経営理念の承継だけを述べるパターン。
- 「3年後」という時間軸を無視した短期施策のみ、または漠然とした「長期的に育成する」という解答。
加点のコツ
- 「社長の判断基準・経営理念を文書化する」という知識移転の施策は、暗黙知の形式知化として採点官に高く評価される。
- 「段階的な権限委譲」という表現を使い、「役職昇格→現場責任者→代表就任」のロードマップを示すと、3年間の工程が明確になる。
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